工場建設


工場建設 各工程における注意点
弊社は「使える工場を建てるために」を設計のコンセプトにしています。したがって、設計図面の重要性はもちろんのこと、各種工程において、何が重要なのかをある程度絞込み、以下のように策定しました。設計図面のゾーニングを計画する際、原材料入荷から商品出荷までの動線は、シンプルかつ余裕があるものが良いですし、設計図では表現できない部分を可能な限り可視化して検証しました。以下「使える工場を建てるために」を最優先に課題としましたので参考にしてみてください。建設予定敷地では、依頼主様と弊社がしっかりとお話させていただき工場や倉庫の配置・危険物倉庫・原材料保管環境・商品保管環境・運搬車(トラック・フォークリフト)・作業者様の動線とする作業環境をそれぞれ考えた建設を依頼主様と弊社がしっかりとお話させていただき公法上の規則と呼ばれている都市計画法・建築基準法・消防法をふまえて責任をもってご希望通りの見積書や設計・計画図面等でご案内をご説明させていただきます。内部設備については、HACCP対策、クリンルーム、冷凍・冷蔵倉庫、給排気計画、も説明させていただきます。
工場・倉庫現地調査
工場を建設する際最初に調べなければならないものとして都市計画法で定められている市街化区域の用途地域は12種類にわけられており、建築基準法の中で定められている地域として、工業地域・工業専用地域は問題なく建設できます。第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・第一種中高層住居専用地域では建てられません。その他の7つの地域では、用途地域の種類に応じ、規模・用途・数量によりきめ細かく規制されております。それを踏まえて、建物の高さ(斜線制限なども含む)・容積率・建蔽率の制限を遵守しながら大きさを決定していきます。また、地区計画・緑地の有無の確認。前面道路の幅員・上下水道・電気・ガス・電話などの現況の確認。正確な敷地を計測・道路状況では隣地や高低差等の確認。現地調査はもちろんですが、所轄の都市計画課・建築指導課・水道課・下水道課・消防署予防課に事前協議に訪問し調査し検討する工程となります。
地盤調査

設計の流れ(基本設計~概算見積書の作成)
工場・倉庫の設計をするにあたり、基本設計と実施設計があります。基本設計は、設計平面のゾーニングを決めます。前面道路からの動線計画・建物の階数の決定内部レイアウトを決め、建物規模が決まります。特に荷捌エリアは、トラック・フォークリフトが安全に運搬できるようにします。また、原材料入荷~商品出荷までシンプルで余裕があるものが良いです。基本設計も何パターンか提出し、工事概算金額を個別に検討していきます。お客様にとって、イニシャルコストは非常に重要になりますので、ここでの打ち合わせに時間を取ります。コストが合わないときには、将来の増築を見据えたプレゼンも視野に入れたりもします。基本設計と工事概要見積の承諾を得られ、その他諸経費(借入・登記)も含め、全体予算案の検討していただいたら、実施設計の準備に入ります。※実施設計をしていくと、建物規模や設備のスペックが上がっていくものです。したがって、過剰設備を無くす意味でも、基本設計での打ち合わせには時間をかけてることが重要だと思います。
設計の流れ(実施設計~建築確認申請作成まで)
ここで設計契約をさせてもらい、実施設計に入らせていただきます。平面詳細図・立面図・断面図・矩計図・建具表・仕上げ表などはもちろんですが、食品工場ですと、HACCP対策(防虫対策)の設計 汚染区域と清潔区域のエリア分けを明確にし、工場入口サニタリーエリアの動線計画(ロッカー着替え~手洗い消毒~エアシャワーまで)扉のスイッチは手で開閉しないセンサースイッチを採用することで雑菌対策したりしてます。出来ればエアシャワーの先の生産ライン(清潔エリア)からクリーンルーム化し外気処理した陽圧の空気の流れを少しずつ汚染エリア(外部側)に向けていく事で内部圧力を外側に向けていけば虫・ホコリは入りにくくなります。特に原材料・商品の出入口には注意し、前室を設け気密シートシャッターのインターロックやエアーカーテンの設置で虫混入の対策を行います。電子部品工場なども、クリーン度は求められており一時間当たり20~50回(クリーン度により)還気しながらプレフィルタ⇒へパフィルター等でホコリをろ過しクリーン度を上ます、清潔エリア(生産ライン)→前室→原材料入荷室・出荷準備室へと、陽圧⇒負圧にしていきます。そうすれば、虫・ホコリ対策はOKとなります。設備機器の検討を最優先にしないと『使える工場を建てるために』は実現しないといっても過言ではありません。ここの設計を重要項目にあげさせてもらいます。建物については、建築基準法上の防火区画について 工場調書による生産レイアウトに支障が出る場合に1500㎡以内ごとの防火区画の免除もあり、そのあたりの検討。構造計算書については、鉄骨・基礎の断面形状でコストパフォーマンスに影響していないか?の検討。省エネルギー法の届出(LED電球・空調インバータ)の検討。消防法では、自動火災報知機・屋内消火栓・消化器・誘導灯の検討。
以上のことをを中心に検討していき、実施設計に当てはめることが非常に重要な問題になっています。
地鎮祭
地鎮祭には、これから建物を建てようとしている土地に宿る神様を鎮め、土地を使うことに対する許可を得るという意味があります。神様に地鎮祭で土地を利用する許可を得ることによって、工事の安全を祈るという意味もあり、それらをふまえ建築工事を着工する前に地鎮祭は大安の日を選んで行われます。地鎮祭は神様のためだけの形式的な行事ではなく、建物づくりを依頼する施主や施工業者はもちろん、設計者や棟梁、職人などが一堂に会する機会になります。お互いの顔を知り信頼関係が生まれます。
杭・地盤改良工事

基礎工事
土間工事

鉄骨工事


屋根工事


外壁工事
内装工事


電気設備工事
電気設備では、電気代のデマンドについてですが、高圧受電される契約電力500KW未満の需要者で契約電力の数字が最大デマンド値で上下するもの。デマンドの仕組みは『30分間の平均電力(KW)』のことです。そして、計量期間である1ヶ月間で最大となったデマンド値は、その月における最大需要電力となり、これが電気料金の計算に用いられます。そして過去1年間の最大デマンド値が、基本料金の算出で使われることになります。電気料金は『基本料金』+『電力量料金』+『消費税』で算出されるのが一般的です。デマンド値はこの中の基本料金を算出するときに組み入れられています。基本料金は『単価』×契約電力(最大デマンド)×力率割引(割増)です。そのため、電気料金が高くなるのを防ぐにはデマンド値に注意しなければなりません。デマンド対策として、①事務所で管理する監視制御システムの導入 ②空調機・冷凍機のイバータによる圧縮機の低速運転(室外機基盤で設定可能)③照明器具LED④その他インバータ制御による低速運転など。工場のデマンドは、②の空調機・冷凍機をどうするかで、デマンド値が決まるとされてます。場合によっては、30分単位で強制的にOFFする商品も出ています。生産機械のデマンドは商品に影響する可能性がありますから、そこはあまり検討しない方が良いと思います。
空調・換気設備工事
空調設備工事は、熱負荷・換気に影響受けやすいですので①生産ラインのモーターなどの負荷②建物断熱による負荷③空気入替による換気・クリーンルームなど陽圧するために外気導入による負荷があります。①生産ラインについては、生産した商品に影響しますので、ある意味熱負荷はしょうがないと思います。②建物断熱については、費用対効果的には断熱性能を上げた方が良いと思います。断熱性能を下げると空調機が運転し続ける方向です。ランニングコストが上がります。③外気導入によるものですが、イニシャル・ランニングコストに影響を及ぼします。空気は透明でみえませんので気ずかないことが多いですが、ここで外気取入量をどうするかにより空調機の容量は大きくなります。可能であれば、外気取入量は最低限に設定するべきですが、HACCP対策・クリーン化とは逆行していくのも事実です。ここの③外気導入どうすべきかについては、時間を取りたいところです。
給排水衛生設備工事
給水については契約水道の口径の太さ、水道の受水槽の大きさなどがありますが、いずれにしても、給水の数により口径の太さが変わるものです。配管のルートや蛇口の配置も重要な要素になります。近くの蛇口大水量だとこちら側の水の出が悪くなったりもしますのでメンテナンスも見据えた配管ルートも重要です。排水については、二重トラップ防止や通気管の正しい配置などあります。特に食品工場では、粉末や油分が排水管詰まりを避けるために配管口径を一つ上げるべき項目になってます。バスケットを設け、オイルトラップを設けても末端側配管径が細ければ詰まりやすくなります。そのたびに配管にスコープを入れ洗浄するとコストがかかります。大きめの配管口径や排水桝の設置は必要です。後からの改修は大変なことになりますので給排水の設計は少し余裕を見た設計にしたいもんですね。
消防関係
工場の消防関係の設計で重要なことは、消防法の規定で、建物面積や扱う商品により、設備が、変わってきます。工場では、消火器・自動火災報知機・火災通報設備・非常警報設備・屋内消火栓・誘導灯などです。例えば屋内消火栓では、700㎡以上の面積は設備する。内装制限(燃えにくい仕上げ材石膏ボードなど)の内装工事とした場合は、1400㎡以上とされております。自動火災報知機については、工場500㎡以上(無窓階は300㎡以上)とされ、開口部が少ない場合ハードルが上がります。非常警報設備では20人以上の収容人数があると設置しなくてはなりません。消防法は、火災を予防し、警戒し、鎮圧し、火災から国民の生命などを守るために定められた法律です。設備はもちろんのこと、避難歩行距離や2方向避難の確保など、分かりやすい動線の計画も重要な消防関係の設計と捉えていくものです。
完成・引渡
建物が完成したら、社内検査をしっかり行い、施主様にも検査してもらい、建築完了検査・消防検査をして合格したら検査済証を各々もらいます。弊社としましては、この完了検査は、非常に重要であると考えています。最近の建物は減っていますが、ちょっと昔まで、完了検査を行わない建物も結構多くありました。そうすると、その建物の資産価値は下がる方向になりますので、検査関係はしっかり行いたいところです。