栃木県A食品工場様より、生産設備の点検を実施しているが、点検作業にあたっていくつかの問題があり、屋内に階段を増設したいとご相談がありました。
増設理由として、生産設備の点検を実施するにあたって、食品衛生ルールを守りながら屋内 ⇔ 屋外 ⇔ 屋内 ⇔ 点検 の往復で、移動時間がかかり大変とのことでした。
詳細は ①食品衛生上のルールを守りながら屋外に出なくてはならない ②外履きに履き替える ③各ドアにセキュリティが設置 ④移動時間がかかる等、点検作業にあたって 食品衛生面の維持・点検の時間短縮につなげたいが、階段の設置スペースに限りがあるためどうしたらよいか?また、生産が忙しくなる前に早い段階で増設がしたい等のご相談をいただきました。実際にどの様な動線で移動するか調査させていただいたところ「悪天候でも外に出なくてはならないのはどうなのか!?建物が大きいので移動時間がかかる、点検でこの移動時間はもったいない!」と感じました。
階段増設の希望エリアには、通常の階段スペースが確保できませんがどうしても生産ライン付近に階段がほしいとのご希望ということで、螺旋階段のご提案をさせていただきました。
1.◎既存設備点検の経路(屋内~屋外~屋内~点検の往復)
2.◎新規螺旋階段増設完了後の設備点検の経路
3.◎螺旋階段 設計図 (平面図)
設計条件
【1】食品衛生面の維持ができる・外履きに履き替えしない・セキュリティを通らない・移動距離が短い等の希望を満たしたい。現状では、衛生区域から汚染区域を通り衛生区域に戻る流れをカットし、螺旋階段部分も含め全ての動線を衛生区域にする事。
【2】建築基準法施行令を満たす設計
※幅・蹴上げ・踏面・手摺り 等
【3】階段室確保のため、1階から2階のスペース 奥行2210 横幅1943
FL~補強梁高さH6490を確保する事。
【墨出し・開口部】
螺旋階段増設にあたり、原材料運搬・生産作業の邪魔にならないよう安全も含め話し合い、どこに螺旋階段を増設するかお客様と決定し、開口部となる箇所にレーザーで垂直水平出し、設計図通りに寸法を出しながら墨出しをし、開口部をあけます。
※1階の生産ラインの床から2階の天井までの高さや2階の床面の厚みなどもしっかり調査させていただきました。
4.◎墨出し①
5.◎墨出し②
【螺旋階段 搬入】
ここからが正念場! 安全第一で作業を行います!
螺旋階段の上段を搬入⇒吊り下げ⇒下段の螺旋階段を搬入させます。搬入時は壁やドア・床を傷つけないよう慎重に搬入させます。
【養生・その他】
螺旋階段上段下段搬入前に、溶接の煙・研磨・錆止め塗装等の匂い等が生産ラインにいかないよう1階の螺旋階段設置周辺には天井から床までしっかりと養生を行い、送風機用フレキシブルダクト(数台設置)でにおい等を外に排気するようにしました。
※溶接作業を行いますので、防炎シート・通常の養生と2重のシートで囲い、消火用グッズも準備します。
【ベースプレート ボルト固定 ジョイント接合】
ベースプレートと床面をしっかりボルトで固定し、吊り下げた螺旋階段の上段と螺旋階段の下段を慎重にジョイント部分を合わせます。次にジョイント部分・手摺部を
しっかりと溶接し仕上げ作業を行います。
6.◎螺旋階段 上段・下段 接合図
7.◎螺旋階段 上段を吊り下げ・固定
8.◎螺旋階段 上段・下段ジョイント接合
【錆止め塗装】
溶接・仕上げ後、螺旋階段の錆止め塗装を再度丁寧に実施し完了!
9.◎螺旋階段 完了①
10.◎螺旋階段 完了②
11.◎螺旋階段 完了③
12.◎螺旋階段 完了④
【最後に】
今回もですが安全第一!ですので、誰一人怪我もせず螺旋階段を増設することができ、ほっとしました。増設工事には工場の皆様・腕のいい職人さんのご協力のおかげで螺旋階段の増設が無事完了しました。お客様からは螺旋階段増設後は食品衛生面を維持しながら点検の時間短縮ができると喜ばれました。厚く御礼申し上げます。