冷凍倉庫を必要とする食品工場や物流センターにおいて、規模や温度帯など多種多様ですが、今回冷凍倉庫(475㎡・-20℃)の設計・施工における注意点①~⑨に絞り一例として紹介させていただきます。また、最も多いクレーム凍上現象について重用点として設計に反映させました。地下水位の高い海沿いの地域と地下水位の低い内陸地域とでは、設計の考え方が変わります。特に地下水位の高い地域の冷凍倉庫は凍上のリスクが高く慎重に設計業務をすすめなくてはなりません。地下水位の高い地域では、地中梁で構造スラブを受け地盤面とスラブ下に中空層(ピット)を設け、通気口と送風機により通気させるべきですし、一方地下水位の低い地域では、コストを優先させ凍上防止管を1mピッチで配置し通気させるなど地下水位によりさまざまと考えます。また、その他設計における注意点をピックアップしてありますのでご参照のほど宜しくお願いいたします。
設計・施工における注意点
1、凍上対策の必要性
2、建物の構造は在来大スパン鉄骨造を採用
3、基礎の構造は外周に杭・フーチングを配置し内部には柱状改良を配置
4、床コンクリートは構造スラブとしない
5、プレハブパネル断熱性能に余裕を持たせる
6、床断熱性能に余裕を持たせる
7、冷凍設備は霜取に配慮した配置・構造
8、防熱扉(出入口)にはフロアヒーター・エアーカーテンを設置
9、小屋裏換気は第三種換気で結露対策
1、凍上対策の必要性
※1 平屋建の場合~凍上防止管VP100を1mピッチで配置し可能であれば地盤面より上げて配管を可視化できる事。地下水位が高い場合には配管内部サーモ付きベルトヒーターも検討(5℃で入切) 低コスト
※2 2階建以上の場合~構造スラブとし床下に中空層を設け地中梁通気口により通気させる。外部に通気用FANを検討 高コスト
2、建物の構造は在来大スパン鉄骨造を採用
※1 平屋の場合~建物構造は在来大スパン鉄骨造を採用(内部柱無・内部地中梁無)
低コスト
※2 2階以上の場合~構造スラブとし床下に中空層を設け地中梁通気口により通気させる。床型枠はPC版を採用(デッキプレートは熱伝導率が高いため断熱には不向き)。
中柱も必要となるためラックの配置と動線に無駄がでる。中柱がある事で形状が複雑になるため断熱性能が落ちる。
3、基礎の構造は外周に杭・フーチングを配置し内部には柱状改良を配置
※外周に杭・フーチング基礎を配置する。中央部には地中梁を配置しない構造で砕石層(断熱層)なるべく大きくとる事。また柱状改良をバランスよく配置し積載荷重フォークリフト、ラックの軸力を受けるスペックとする。⇒柱状改良軸力期待値13t/㎡
4、床コンクリートは構造スラブとしない
中央部に地中梁があると砕石層(断熱層)の厚みに欠損が生じると考えられる。プレハブパネル断熱性能は余裕を持たせたいためなるべく砕石層(断熱層)を多くとりたい。
したがって、土間コンクリートとし構造スラブとはしない。
5、プレハブパネル断熱性能に余裕を持たせる
・壁パネル厚100㎜以上必要ですが、天井高6500㎜のため壁キースパンパネル165㎜と天井フラットパネル150㎜を選択した。参考150㎜(断熱性能-55℃まで)
・天井高6500㎜≧6000㎜のため特定天井扱いとなるため躯体側からブレス補強を天井裏に配置した。
・プレハブパネル損壊防止のため大型リリーフ弁を設置した。
6、床断熱性能に余裕を持たせる
土間コンクリート上に3種スタイロホームFGを厚さ175㎜設置した。
熱伝導率0.022W/(m・K)
7、冷凍設備は霜取に配慮した配置・構造
・クーリングシステム20馬力3系統・16馬力4系統配置し対面で冷風がぶつからないようにずらしながら配置した。
・霜取りは7系統とも時間をずらし冷凍庫内の温度上昇を抑える事、またユニットクーラーの吹き出し口にダンパーを設置し霜取りに影響しない構造とした。
8、防熱扉(出入口)にはフロアヒーター・エアーカーテンを設置
冷凍倉庫温度上昇を避けるためエアーカーテン連動とした。
9、小屋裏換気は第三種換気で結露対策
小屋裏の結露が予想されるため第三種換気方式で+20℃でサーモONし6回/hの空気入替を行うものとする。給気は下部から入り排気は上部から行う。温度スイッチは小屋裏に設置
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