HACCP対応工場(食品工場建設)における設計図面
【はじめに】
「多発する食の問題」「オリンピック・パラリンピックに向けて国際標準と整合的な食品衛生管理」などが理由とされ、2021年6月からHACCP導入及び運用の完全義務化になった事で、これから新築される工場様はもちろんのこと、修繕・改修を余儀なくされている工場様に対し少しでもお役に立てる事はないものかと考え、HACCP対応工場(食品工場建設)における設計のチェックリスト・設計図面を作製いたしました。
【HACCP対応工場建設における設計の注意点】
①建物配置計画(ゾーニング計画)
②内部温度管理
③外部出入口~外部からの虫・ホコリ・異物混入を防ぐ
HACCP対応工場建設における設計の重要な注意点として以上の3点が挙げられます。
①建物配置計画では、外部の排水処理施設・廃棄物置場・緑地(植木など)を工場建屋から離し、細菌の繫殖・虫や異物混入を防ぐと事や、内部ではサニタリー室を設置する事で、人自身から発生するホコリや大腸菌などを予め除去し生産ラインに入室する事は重要になります。製造ライン側ゾーニングでは、汚染区域⇒準清潔区域⇒清潔区域⇒準清潔区域⇒汚染区域(図-1)とし、交差汚染を避ける事や清潔区域から順に空調・給排気で陽圧としクリーンルーム化(クラス10000)の実現を図るべきであると考えられます。
②内部温度管理は、特に夏季の製造ラインで細菌の繫殖しやすい20℃~45℃を避け、中温域(15℃前後)をキープする事や、冷蔵庫は5℃以下で温度管理を徹底し食中毒菌(O-157菌・大腸菌)の繁殖を防ぐことが重要になります。
③外部出入口では、原材料入荷室・製品出荷室を前室とし内外扉(シートシャッターなど)をインターロックで開閉する事や、前室自体を冷蔵庫とすることで虫の嫌う低温域を実現するのも良いと考えます。さらにエアーカーテン・スリットカーテンを設置することで外部から虫・ホコリ・異物混入を防げます。
原材料入荷室冷蔵倉庫(3℃)
製品保管用冷凍倉庫(-23℃)
【製造ラインのゾーニング】
図-1 製造ラインのゾーニング
汚染区域⇒準清潔区域⇒清潔区域⇒準清潔区域⇒汚染区域
上記のような流れが理想となります。
これらの区域内で原材料や製品が行き来すると(一方通行が理想)作業効率の悪化や間違った原料の混入及び異物混入などの交差汚染が生じしやすいので注意が必要となります。
また、製造ラインのクリーンルーム化は、清潔区域から順に準清潔区域、汚染区域へと空調・給排気で陽圧としクリーンルーム化(クラス10000)の実現を図るべきであると考えられます。空調はHEPAフィルターを通し外気を取り入れ陽圧化を図り空気洗浄等を保つことが必要になります。また、天井面にフィルターユニットを設置し10回~15回/時間程度の還気回数で設計しクリーンルーム化を図ります。
給湯施設など排気風量が大きい製造ラインに関しては、空調負荷が大きくなるため間仕切やカーテンを設置し局所排気としたいものです。
【HACCP対応工場(食品工場建設)における設計チェックリストの概要】
①外部ゾーニング~排水処理施設・廃棄物置場は、工場建屋から離す
②内部ゾーニング~・汚染区域と清潔区域が交差しないように配置する
・サニタリー室を設置する
・空気の流れは、清潔区域から順に陽圧化(清潔区域は陽圧化)
・出入口は、特に重要。搬出入口には前室を設置
③出入口~・原材料入荷室・製品出荷室・人の出入口は、虫・ホコリ・異物混入しない構造とする
④内装材料~床:熱に強いもの
壁・天井:清掃のしやすいもの
巾木:壁を壊さない構造
内部窓:埃・異物が混入しないもの
設備配管:埃・異物混入しないつくり
電気設備:照度の確保
給水設備:ランニングコスト低減
排水設備:細菌の繫殖しないつくり
空調・給排気設備:局所排気・クリーンルーム化の実現
⑤製造設備~異物検出器の導入
エアーシャワー設置
工場内部状況(箱詰室)
【ご相談承ります】
これから新築される工場様はもちろんのこと、修繕・改修を余儀なくされている工場様に対し少しでもお役に立てる事はないものかと考え、HACCP対応工場における設計のチェックリストと設計図面を作製致しました。
ご興味がありましたら下記フォームにてお送り頂ければ、メールにてPDFをお送りいたします。
※HACCP対応工場(食品工場建設)における設計のチェックリスト A4版PDF 2枚
※HACCP対応工場(食品工場建設)における設計図面 A4版PDF 1枚
よろしくお願いいたします。