
冷凍庫(-23℃)防熱扉上エアーカーテン新設及び改修工事
はじめにHACCPとは、Hazard危害 Analysis分析 Critical重要 Control 管理 Point点。
今回、食品工場様の中に設置されている冷凍庫のHACCP管理について考察しました。冷凍庫の温度管理についての基本的な考え方は、食材によって違いはありますが、寄生虫を死滅させるためには-20℃以下の温度管理が望ましいと言われています。したがって、製品の搬出入作業時における温度上昇は品質管理に大きな影響を及ぼしますので、温度上昇を最低限に抑え品質維持する管理がもっとも重要となります。そのためにエアーカーテンを出入口に設置したり、スリットカーテンを取り付けます。ご依頼いただきましたお客様に感謝申し上げます。ありがとうございました。
工事前状況
エアーカーテン新設工事前状況は、冷凍庫26.4坪(W8650×D10100×DH4000)冷凍機は20馬力3系統で温度設定-23℃で運転している状況です。防熱扉(W2400×H2500)を開けてフォークリフトで製品の搬出入作業が頻繁にあり、防熱扉を開けると当然温度も上昇しますし、温度上昇を最小限にするため、開いている時間を短くするよう配慮されながらオペレーションされているようにみえました。内部側に透明の冷凍用スリットカーテンは設置されていましたが、特に夏場の温度管理についてはなかなか難しいようでした。
設計条件
①エアーカーテンを設置し、特に夏場+30℃の外部と冷凍庫-23℃(温度差53℃)負圧になるので外部からの侵入熱を防ぐ。
②防熱扉のチェーン部分と化粧カバーに隙間を作りスムーズな風の流れをとりたい。
設計提案
温度差53℃を考えると冷凍庫側がかなりの負圧になりますので風速は通常のエアーカーテンよりも大きめなものが良いと考えました。一方、外部からの防虫対策としても効果は期待できますので安心です。設置するエアーカーテン吹き出し口から土間までの距離3mありますので、土間まできっちりと風速を確保しなければなりません。メーカーからの風速分布図により土間部分で風量2m/s以上は確保したいと考えました。
また、防熱扉上部の作りは、かなり風道をさえぎるものですので化粧板を鋼材のフラットバーやアングル等で加工し化粧板を手前側に移動しスムーズな空気の流れを確保したいと考えました。

防熱扉用の制御盤の中にエアーカーテン用の制御回路が加味されていました。扉が開くと三相200VのマグネットスイッチがONになり、エアーカーテンが作動するというシンプルな回路ですが、マグネットスイッチとサーマルは古い物でしたので交換しようと考えました。

風速測定・温度上昇の測定・電気料金計算
A風速測定: 土間部分の風量2.44m/sとなりました。

B温度測定
・測定方法:防熱扉を1分間と2分間開放し、エアーカーテンが作動した時と作動しない時の温度上昇を測定する。
・測定の場所:冷凍庫内 中央部分 床上1.2m
・測定前の温度:外気温度 30℃ 冷凍庫内温度-17℃(諸事情により高めになりました)
温度差47℃


(結果)
測定結果としては、以下のようになりました。
①防熱扉1分間開放
エアーカーテン使用有り庫内温度 -17℃→-15.4℃ 1.6℃上昇
エアーカーテン使用無し庫内温度 -17℃→-13.5℃ 3.5℃上昇
※温度上昇差 2.1倍

②防熱扉2分間開放
エアーカーテン使用有り庫内温度 -17℃→-14℃ 3℃上昇
エアーカーテン使用無し庫内温度 -17℃→-11℃ 6℃上昇
※温度上昇差 2倍

したがって①②ともに約2倍。
エアーカーテン無しの時の温度上昇を考えるとなかなか難しい結果となりました。HACCPから見た寄生虫の死滅する温度-20℃以下を維持するためには、当然のことエアーカーテンは必要ですし、冷凍設定温度も余裕をみて-20℃以下(例-23℃位)にしておかないとHACCP管理は難しいと分析いたしました。
電気料金計算につきましては、温度上昇差から概算計算をしてみようと思います。
C電気料金計算
・1日のフォークリフト搬出入作業 1分/回×60回×1.5℃ →90℃上昇
・現地確認 5℃下げるための所要時間 → 7分
・90℃÷5℃×7分 → 126分 ∴ 2時間
(結果)
電気料金計算結果は、以下のようになりました。
冷凍機15kw×3台×2時間×15円/kw →1日当たり1,350円(夏季の場合)
年間当たり1,350円×70%→945円
1年当たり945円×300日 283,500円
エアーカーテン作動1分/回×60回→1時間
0.535kw×2台×1時間×15円/kw → 1日当たり16.05円
1年当たり16.05×300日 4,815円
したがって283,500円-4,815円→278,685円
結果としては、約27.8万円下がる方向になります。
当然工場のオペレーションにもよりますのであくまで概算として計算してみました。
引渡し後の状況
引渡し後の状況としましては、工場社員の方の声でフォークリフト搬出入作業時に『温度上昇がなくなりましたよ』と、お褒めの言葉をいただきました。製品の品質管理・ランニングコストについても効果があり、検収後引渡しとさせていただきました。