食品工場の動線計画において汚染区域からサニタリー室で異物を除去し工場側清潔区域に入場していく事になります。サニタリー室での入室準備であらかじめ虫・ホコリ・異物を除去します。弊社としましては、衛生服の【背中側のホコリ】など、クリーンローラーで取れない部分をエアーシャワーでさらに除去する事は必須と考えております。したがって、虫・ホコリ・異物を混入させないとゆう本来の目的に対し、エアーシャワーの設置は最も重要であるのと考えました。以下の通りご参照のほどよろしくお願いいたします。
目次
1 エアーシャワーの役割
2 サニタリー室の動線計画
3 エアーシャワーの動作・メンテナンス
4 事例紹介
1 エアーシャワーの役割
クリーンルームに菌・毛髪・外気によるホコリを取り込まないようにすることが大切で、建物内のゾーニング化を行い、機械的では空気がクリーンルーム(室内)→ 外に空気が動くよう常時 陽圧状態にし、エアーシャワーの扉が開いた時、外部の空気やホコリ等がクリーンルーム内に入り込まないようインターロック式で侵入防止を行います。
クリーンルーム側の扉と、外気側の扉が同時に開いて、汚染空気がクリーンルームに流れ込むのを防ぐため、インターロックシステムの働きにより、直通で出入りできないようになっています。本来エアーシャワーの出入口は自動ドアタイプが望ましいですが、ドアの開閉でスペースが必要となり、自動ドア式・手動ドア式・シートシャッター式と選択することができ、床無と床有(靴底のゴミを取り除く)のタイプ等、スペースや利用条件で選択できます。
またファンの稼働によって足元から吸い込みプレフィルタ(エアーシャワー内で舞った毛髪・ホコリを吸い込みフィルタにとどめる)から、HEPAフィルタ(03μ m粒子にて9997%以上の粒子捕集率)を通過し、シャワー吹き出し口(壁面・天井)ノズルから清潔な風が出て、クリーンローラーがけでも取り除けなかった毛髪・ホコリを取り除きます。(ノズルの向きで効率UP)シャワータイマーは約20秒が一般的です。
2 サニタリー室の動線計画
サニタリー室~クリーンルームまでのクリーンローラー・手洗い・消毒等で菌を持ち込まない環境づくりをするため時間がかかりますが次の流れが必要になります。
① クリーンローラーがけ(1回目)
等身大の鏡(割れないよう工夫)などを設置し、身だしなみを確認しながらクリーンローラーを頭部から下に向かい身体の正面・裏面・脇面・靴下(足裏面)しっかりかける。
※クリーンローラーのかけ方手順の図を目の高さに掲示する
※作業者が2名の場合は互いにクリーンローラーがけをする
※抜けた体毛が作業着内動き袖口や足首からクリーンルーム内に落ちる可能性もあるので手首・足首サポーターを着用すると効果的です。
② 手洗い・消毒
マニュアル通りの手洗い・消毒
※手洗いなしですと手に約1,000,000個以上のウィルスの残存数があり、流水手洗い15秒 → ハンドソープで入念に手洗い30秒(爪ブラシ等を利用しながら) → 流水手洗い15秒 → アルコール消毒を行いますと約数100個まで減少させることができ2回洗いですと、もっと効果的です。
※自動水栓(温水可)・自動消毒器を使用すると衛生的です。
※アルコール消毒を忘れるとエアーシャワーの入口扉が開かないようにする設定をすることも可能です。
③ ビニール手袋着用
工場で指定されているビニール手袋を着用
※指に傷などある場合は傷を保護し(異物混入対策用絆創膏)、ビニール手袋を二枚着用し対策を行う。職場のリーダー・衛生管理者等に報告(体調・傷等を記録化)
※ケガによっては別の作業に変更
④ エアーシャワー入室
※作業着に付着した毛髪・ホコリを取り除くためシャワータイムは約20秒が一般的ですが、時間調整が出来ます。
※エアーシャワー入室時ドアが開いた時、外部の空気やホコリ等が入り込まないようインターロック式なので侵入防止ができます。
※シャワー時は両手を上げ身体を回転させることで付着した毛髪・ホコリを取り除くのに効果的です。
⑤ クリーンローラーがけ(2回目)
※エアーシャワーによる毛髪・ホコリが除去できるのは60%~80%のため再度クリーンローラーがけを行うと効果的です。
⑥ ビニール手袋着用後の消毒
エアーシャワー後、装着したビニール手袋の消毒を行う。
※自動消毒器・足踏みタイプの消毒があると衛生的です。
Point)製品に最も近づく作業は、作業前にクリーンローラーかけを行うと効果的です。※経験談:ルールを守っている作業者に生産中協力していただき抜打ちクリーンローラーかけを1回/2H実施しても 2~3本/5名 毛髪・塵が付着していました。
Point)入室の手順にもれがないよう、目の高さに手順番号や矢印(→)を表示すると忘れ防止になります。
3 エアーシャワーの動作・メンテナンス
- 二重扉はインターロックで同時に開放しない構造
- プレフィルタの洗浄 1回/週
- シャワータイマー(稼働時間) 15秒~20秒
- HEPAフィルタ交換 ・100回/日で約5年
- 差圧計がある場合 250pa以上
◇入退室について
エアーシャワーにて取り切れていない毛髪やホコリ等が清潔区域に持ち込むのをおさえるため、二重扉はインターロックで同時に開放しない構造になっている。
◇シャワータイマー設定
入室時シャワー時間を20秒で設定。(お客様が設定)
◇HEPAフィルタ交換時期・交換方法 (設置機種の交換時期の例)
点検頻度は1回/年、差圧計が約250pa 以上になったら交換。
または使用期間3~5 年で交換。差圧計がないものはタッチパネルに交換ランプが点灯したら交換。積算運転時間 約800 時間、(1回のシャワー時間を20 秒とし、1 日100 回使用すると約5年に1回交換)
(お客様利用の場合 算出例)
20秒/回×100回/日=2,000回/日、2,000回/日÷60=33.33分/日、
33.33÷60=0.55時間/日、0.55時間/日×300日稼働=165、
800積算運転時間÷165=4.84年
※HEPAフィルタは掃除機で清掃するか、軽くたたいて汚れを取り除くことは出来ますが、水洗いは出来ませんのでHEPAフィルタ交換をおすすめいたします。
◇プレフィルタ交換時期・交換方法 ※設置機種の交換時期
点検頻度は1回/週、取付けに緩みはないか、汚れ破けはないか確認。汚れたもの、破けたものは直ぐに交換。定期清掃は掃除機を使用。
◇有事の際、避難方法
有事の際、避難方法で非常ボタンが何処に設置してあるか等注意事項を説明させていただきご理解いただいてお引渡完了となりました。
※消防関係の確認・申請・手続きはお客様の方で実施していただきました。
4 事例紹介
群馬県A食品工場様より、通路にエアーシャワー設置依頼のお問合せがありました。
依頼理由
昔から建てられた建物で通路が狭く、ドア間で準清潔区域と清潔区域分けて利用していたようですが、準清潔区域・清潔区域をしっかり分け、クリーンローラーで取り除けない毛髪・ホコリを取り除くため、エアーシャワーを設置したいとのお話で、エアーシャワー入室時の人数は2名入れるくらいにしてほしいとのご依頼がありました。
ご依頼されました場所は、限られたスペースで準清潔区域・清潔区域をしっかり分ける事をテーマとしてお客様と話し合い工事依頼は限られたスペースに設置希望がございましたので、ドアは手動式のエアーシャワーを設置する事となりました。
現場調査・図面作製
エアーシャワーが設置出来るか設置予定か所の測定・扉の開閉の向きや電圧が足りるか(電源AC200V、消費電力1300W)等、限られたスペースでどのようなエアーシャワーが適しているのか?限られたスペースにエアーシャワーが納められるのか?お客様と話し合い進め図面作製し承諾をいただきました。
解体作業
解体前に照明移設・コンセントの撤去・手洗いシンクの移設・その他撤去を行い、解体時に出る粉塵等がクリーンルームに流れ込まないようしっかりと養生シートを設置しました。また、既存のドアサイズより若干エアーシャワーの高さがある為、一部の壁をきれいに撤去しながら解体作業を行いました。
エアーシャワー搬入・組立・他工事
お客様よりバリアフリー希望となっておりましたが、既存ドアの沓摺を取外し後、床面を若干掘削との案もありましたが、床と沓摺の段差は入退室時問題が無いと判断し、お客様にお伝えしご理解いただきました。エアーシャワーを搬入・組立後は、軽鉄・パネル・塗装・電気配線等の作業いたしました。
・入室側既存の手洗いシンクの給排水の配管等が移動した分、配管を伸ばしたので配管の元の部分や電気関係の点検が行えるようエアーシャワーの横と上部の部分に人が入れるよう点検口を設けました。
・ドアの開閉時に壁にぶつからない様、床にドアストッパーを設置し、開閉時壁にドアがぶつかる心配もせず気兼ねなく開閉が出来るようにしました。
※壁側に制御盤がある為気を遣わず開閉できます。
【ご相談承ります】
これから新築される工場様はもちろんのこと、修繕・改修でお困りの工場様に対し少しでもお役に立てれば幸いです。どうぞお気軽にお問い合わせください。
株式会社TASAKI 電話番号 028-670-5290