騒音測定 防音壁遮音性能結果(総合遮音性能Dr値-16㏈)

はじめに

工場建設において、住宅地に隣接する工場の騒音・振動は近隣クレームの対象になりやすいです。特に、冷凍機・空調機・送風機などの室外機を道路側に設置する場合は、細心の注意が必要です。可能であれば、敷地内部側や屋上など騒音の影響を受けにくい部分に設置するべきですが、難しい場合は防音壁が必要です。最近の機械については、インバータ制御で運転するものが多く、高周波数では75㏈~85㏈程度まで騒音値は上がります。一方で、地域により騒音の基準が定まっています。                   
今回、「指定地域の特定工場等において発生する騒音の規制基準」を元に防音壁の設計・施工事例をご紹介させていただきます。

【目次】

  1. 地域の騒音基準
  2. 現状の騒音値 測定
  3. 冷凍機 防音工事設計図の作成
  4. 冷凍機 防音工事完成
  5. 防音工事後の騒音値と効果について
  6. 近隣住民のお声

1. 地域の騒音基準

〇〇市の設定されていました「指定地域内の特定工場等において発生する騒音の規制基準」は下記の規制が設定されております。

※㏈(デシベル):計量法音圧レベルの計量単位

・条件:対象区域 第3種区域 準工業地域  PM23時~翌日AM6時まで 50㏈以下

2. 現状の騒音値 測定

・重要:近隣住民の方々とのコミュニケーションを取り調整に時間を取る事
・調査:深夜0時に 騒音調査実施しました
・現状の騒音値結果:冷凍機音源63㏈⇒境界線58㏈⇒受音点54㏈ NG

3. 冷凍機 防音工事設計図の作成

・条件:対象区域 第3種区域 準工業地域  PM23時~翌日AM6時まで 50㏈以下
・境界線での騒音値50㏈を下回るためには、マイナス13㏈必要
・騒音値が下回らない場合は、後から壁に防水性ガラスクロスを金属壁に直接貼れるように、ガルバリウム鋼板スパンドレルタイプを採用した
・ガラスクロスは防音効果には最適
・防音壁の高さは、冷凍機高さより30cm高く設計した。
・冷凍機の熱交換ショートサイクルの防止するため、スペース確保と上部開放した設計

4. 冷凍機 防音工事完成

5. 防音工事後の騒音値と効果について

騒音測定結果:冷凍機音源63㏈⇒防音壁外側55㏈⇒境界線48.4㏈⇒受音点47㏈ OK
受音点総合遮音性能 Dr値-16㏈となりました。
騒音測定 防音壁遮音性能結果(総合遮音性能Dr値-16㏈)
騒音測定 境界線 48.4㏈

6. 近隣住民のお声

冷凍機周囲に防音壁を設置し近隣住民の方々に、ご挨拶・どの様な対策工事を行ったか伝えるためご挨拶に伺ってお声をいただきました。一部のお声を紹介いたします。

・防音壁を設置していただいて音がだいぶ静かになった
・直ぐに対応してくれ嬉しいです

今回の騒音対策では、近隣住民の皆様に大変貴重なお話を聞かせていただき大変勉強になりました。また、食品工場様にはお困りの内容をしっかりと受け止めていただき早々ご対応していただき誠にありがとうございました。
【捕捉】
・健康診断でヘッドホンをつけ、行う聴力検査は30dB聴こえれば異常なしとされています。一方で、騒音規制基準値は、地域により40~50dB以下とされています。聴力検査と騒音規制基準値の差はさほどありません。個人的見解としては、日常の会話60dB程度であれば騒音にはならないと考えたいですが、音は、煩音(はんおん)に影響を受けやすいのも事実です。
※煩音(はんおん)とは~心理的に不快な音で、音量はそれほど大きくなくても聞く人の心理状態や人間関係などの要因によって煩わしく感じる音になります。
・環境省の騒音基準
都道府県知事(市の区域内の地域については、市長。以下「都道府県知事等」という。)が騒音について規制する地域を指定するとともに、環境大臣が定める基準の範囲内において時間及び区域の区分ごとの規制基準を定め、市町村長が規制対象となる特定施設等に関し、必要に応じて改善勧告等を行う。また、深夜騒音等の規制 深夜騒音等の規制に関しては、地方公共団体が、住民の生活環境保全の観点から、当該地域の自然的、社会的条件に応じて必要な措置を講ずることになっています。
〇特定施設発生する騒音の規制に関する基準(環境省)
・騒音の大きさの目安