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第4類 危険物一般取扱所の設計における注意点
①保安距離・保有空地の確保
②第4類危険物の消火設備は、棒状の水による消火は適さない
③危険物指定数量を確認(1日の最大使用量)
④貯留設備は、エリア内に危険物を留めるようにする
⑤電気設備・換気設備は、防爆型を用いる
⑥塗装工場の第4類危険物は、静電気除去設備を設置
⑦生産機械関係は、安全装置を設置
⑧危険物指定数量10倍超の場合、基準が厳しくなる。(避雷設備・警報設備)

はじめに
昨今、多くの化学が目覚ましい発展を遂げ、各工場の扱う材料もさまざまで、消火設備や消火活動の選択は非常にむずかしいですし、特に第4類危険物は、引火点が低く発火するとすぐ爆発的に燃え広がるため難しい素材になります。
したがって弊社では、‘’第4類 一般取扱所 共通の基準‘’と‘’第4類 一般取扱所 部分規制を伴う塗装工場の基準‘’を分かりやすくするために設計図面と仕様書を作成いたしました。

工場の生産ラインは多種多様であり、生産機械などは、モーター・ポンプ・空調などで構成され圧力や温度も高くなり静電気も発生しやすくなるため、当然加工用の危険物材料の危険度が上がります。なかなか共通の基準だけでは足らず、現実的には部分規制のある設計が必要になります。特に第4類危険物は、品質を維持するために温度管理を要求されるものも多くあり、その場合空調設備が必要になります。 

可能であれば機械室を設置し危険物と動力源が交差しないレイアウトにすれば、危険エリアで静電気が発生しにくくなるためより安全になると考えます。特に生産設備機器は細心の注意が必要になります。今回、工場建屋から見たアプローチにはなりますが、『第4類 危険物一般取扱所(危険物製造所)の基準』と、『第4類 危険物一般取扱所 部分規制を伴う塗装工場の基準』の双方を検討することで、限りなく現実的な設計に近づくだろうと考えました。そして、これから建設や改造検討されている工場様に対して少しでもご参考になれば幸いです。

設計における注意点をもとに、建物配置・構造・電気関係・設備関係までの基準及び図面を作製致しましたのでご参照ください。

1-A『第4類 危険物一般取扱所(危険物製造所)の基準』の設計図面
1-A『第4類 一般取扱所 基本的基準』の設計図面 (1)

1-B『第4類 危険物一般取扱所(危険物製造所)の基準』
1-B『第4類 危険物一般取扱所(危険物製造所)の基準』

第4類危険物一般取扱所 外部 
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第4類危険物一般取扱所 内部強制排気
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第4類危険物一般取扱所 内部空調コイル
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以上『第4類 危険物一般取扱所(危険物製造所)基準』は危険物製造所の基準が準用されています。

2-A『第4類 危険物一般取扱所 部分規制を伴う塗装工場の基準』の設計図面
2-A『第4類 危険物一般取扱所 部分規制を伴う塗装工場の基準』の設計図面

2-B『第4類 危険物一般取扱所 部分規制を伴う塗装工場の基準』
2-B『第4類 一般取扱所 部分規制を伴う塗装工場の基準』

以上『第4類 危険物一般取扱所 部分規制を伴う塗装工場の基準』については、第2類又は第4類(特殊引火物を除く)もので、第一石油類・アルコール類・第二石油類など、1日の最大使用量が指定数量30倍未満まで取扱いできます。また、1棟の建屋の中に部分規制が可能な取扱いが複数存在する場合、区画を単位として特例形態の一般取扱所とする事ができます。
危険物一般取扱所・製造所は、例えば指定数量10倍以下での保有空地は3m以上ですが、指定数量10倍超ですと保有空地は5m以上になります。将来の増産や品質管理のための改造などイレギュラーに対応をするためにも、将来を見据えた設計が望ましいと考えられます。
従って、可能なのであれば、ある程度大きな敷地に建屋も余裕を見て建設するべきであると考えられます。ご参照ありがとうございました。

(捕捉)
危険物施設について(指定数量以上の危険物を貯蔵し、また取り扱う施設)
ア、危険物製造所とは、危険物の製造が目的である施設。
イ、危険物取扱所とは、危険物を原料とした非危険物の製造が目的である施設。最終的に危険物を製造するものでないが危険物の混合、物理的、化学的処理により製品化されるもので、基本的には、製造所の技術的な基準が準用されてはいますが、製造にあたり危険物も複数あるもので製造の運用も複雑であることから、何を製造するのかにより位置・構造・設備の技術上の基準の特例が定められている。(化学工場など)
ウ、危険物貯蔵所(危険物倉庫)とは、指定数量以上の危険物を貯蔵する目的である施設。
(屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・屋内タンク貯蔵所・地下タンク貯蔵所・簡易タンク貯蔵所・移動タンク貯蔵所・屋外貯蔵所)