喫煙所完成

平成30年健康増進法の一部が改正され

①望まない受動喫煙をなくす
②受動喫煙による健康影響が大きい子供。患者等に特に配慮
③施設の類型・場所ごとに対策を実施
とされ2020年4月~原則屋内禁煙が義務化されています。屋内全面禁煙しない場合、受動喫煙防止対策をしなければなりません。なお、受動喫煙防止対策助成金も厚生労働省のHPに掲載されておりますので参考まで検索していただきたいと思います。

ここで受動喫煙防止対策(喫煙専用室)について、どのようにして作るのかを設計手順にて掲載させていただきます。

設計条件

1喫煙専用室 面積         3㎡
2喫煙専用室 天井高        2.7m
3喫煙専用室 容積         8.1㎥
4喫煙専用室 出入口開口面積    1.6㎡
5喫煙専用室 出入口(開いてる時)面風速      0.2m/s

風量計算

A 出入口(開いてる時)
Q1排気風量(㎥/h)=出入口開口面積(㎡)×出入口面風速(m/s)×3600(秒)×安全率
         =1.6㎡×0.2m/s×3600s×1.1 一割増
         =1267㎥/h≒1270㎥/h
天井扇機種選定  800㎥/h×2台=1600㎥/h
ダクト200Φによる圧損→30㎩  深型フード200Φによる圧損→30㎩ 合計60㎩
パイプ抵抗曲線により 60㎩時の排気風量→650㎥/h×2台=1300㎥/h >1270 OK
B出入口(閉じている時)
喫煙室で1時間に12本喫煙が行われていますので
Q2排気風量(㎥/h)=10×n本(mg/h)÷0.15(mg/㎥)
          =10×12÷0.15=800㎥/h
 ※自然給気量合計によるため 圧損特性により三か所の圧損を求めます。

①天井扇関係による圧損   60㎩  
②外気による圧損 深型フード30㎩+給気グリル30㎩+ダクト30㎩  小計90㎩
③給気ユニットによる圧損 20㎩  +ベントキャップ20㎩     小計40㎩
①~③合計 190㎩
天井扇の圧損特性により190㎩時排気風量は→450㎥/h×2台=900㎥/h >800㎥/h 
OK
換気回数計算は以下の通りとなりました。
換気回数=900㎥/h排気風量÷室容積8.1㎥=111回/h
以上のように、喫煙室の排気風量計算になりました。
厚生労働省の新ガイドラインによると、排気風量は、Q1:喫煙室の出入口で0.2m/s以上の空気の流れの計算と、Q2:室内で1時間に何本喫煙するかの計算で、大きい方の排気風量を設置するとされてはおりますが、今回のように出入口に扉を設けた場合は、出入口全開の時の圧損は小さくなり良く排気しますが、出入口全閉の時の圧損はかなり大きくなり排気しなくなりますので、Q1とQ2は、分けて捉え個別に計算する必要性がありました。

◎新設喫煙室平面計画図

新設喫煙室平面計画図

◎新設喫煙室断面計画図

新設喫煙室断面計画図
新設喫煙室断面計画図

喫煙室工事前状況
喫煙室工事前状況

ダクト配管
ダクト配管

天井扇・給気グリル
天井扇・給気グリル

扉全開時面風速
扉全開時面風速

扉全開時面風速
扉全開時面風速

扉全開時給気状況
扉全開時給気状況

扉閉時給気状況
扉閉時給気状況

ガイドローラー取付
ガイドローラー取付

工事完了後の試運転状況につきましては、以下のようになりました。
A出入口開いている時の扉部分の面風速
扉下 0.31m/s
扉中 0.51m/s
扉上 0.36m/sとなり0.2m/s以上の風速を確保できました。
B出入口(閉じている時)
天井扇の排気風量 ダクト内面風速(平均)×ダクト断面積×3600秒
天井扇① 553.8㎥/h (4.9m/s×0.0314㎡×3600=553.8㎥/h) 
天井扇② 542.5㎥/h  (4.8m/s×0.0314㎡×3600=542.5㎥/h)
合計1096.3㎥/h
排気風量1096.3㎥/h÷8.1㎥=135回/hとなりました。
換気回数は結構大きくはなりましたが、当然のこと実際にたばこに火をつけるとしっかりと排気することができました。
 問題点としては、内部負圧により、引戸が閉まる時に内部側に建具が引っ張られてしまい若干の扉の傾きが発生しましたが、ガイドローラーを取り付けることにより建具をスムーズに完全に閉じる事ができました。
喫煙所に滞在中につきましては違和感も無く快適でしたので、お客様にも喜んでいただきました。
ご依頼いただきましたお客様に感謝申し上げます。ありがとうございました。

喫煙所完成
喫煙所完成